マリア
第17章 序曲 ①
「ごめん、俺、もう…」
尚もヨーグルトをスプーンで掬う智を制した。
智「そう?」
「お腹いっぱいになったからかな?ちょっと眠い。」
急激な眠気に襲われ、目を開けているのがやっとだ。
智「じゃあ、少し寝る?」
「うん。」
ベッドに潜り込んだ俺の体にシーツをかけ直し笑う。
智「しばらくここにいてあげるから…」
「うん……あの…今日はありがと。」
智「ううん。どういたしまして。」
あれ、どうしたんだろ?
いくらなんでもこんな…。
瞼がこんな重いなんて…
智「おやすみ……翔くん。」
さ…とし………
…さと……
智に向かって伸ばした筈の手は空を掴んだ。
次に目を開けたときには既に智の姿はなく、
ノックをしたけど返事がなかったから、と心配顔のお袋が目の前にいた。
「ビックリした…」
「よく寝たからスッキリしたでしょ?」
…そう言えば……?
体も軽いし、頭もスッキリしてる。
首を左右にコキコキと曲げながら肩をぐるぐる回す。
「それだけ元気があるんだったら明日は学校行けるわね?」