マリア
第18章 虚偽曲 ①
ただでさえ折れそうな智の体を思い切り抱きしめた。
「…いいの?ホントに。やっぱりアイツの方がいい、って言っても行かせないよ?」
智「言わないよ、そんなこと。」
智の言葉を信用したわけじゃないけど、うっとりした顔で、猫みたいに俺の手に頬擦りしてくる智に頬が緩んでしまう。
智「何でかなあ?翔くんといると落ち着く。」
それおかしくね?
今からヤること考えたらさ?
智「ね、翔くん?」
「ん?」
智が急に細い両腕を巻き付けてきて、少し背伸びするように俺にキスしてきた。
智「んふふっ。翔くんてば、顔真っ赤。」
俺の体に腕を巻き付けたまま智がイタズラっぽく笑う。
「な、なんだよ!?不意討ち食らわすからだろ?」
智「いーじゃない、キスぐらいしたって?恋人同士なんだからさ?」