マリア
第18章 虚偽曲 ①
「優しく出来なかったらごめん。」
智「……そんなんやだ。」
……おい(汗)誘っておいてそれはないだろ?
智「ホントに怖かったんだから……。」
俺から目を逸らしながら智は確かにそう言った。
「……ごめん。」
智「え?」
「俺のせいであんな…」
智「いいよ…もう。」
怖かったのは本当だろう。
智は微かに震える唇を噛みしめていた。
「あの…イヤなら俺……。」
智「……大丈夫。」
「でも……」
智「翔くんにはその責任がある。」
イヤとは言わせない、と見上げる目が俺に強く訴える。
「……分かった。努力するよ?」
智「……うん。」
二人してつい顔を見合わせ照れたように笑う。
「智くん…?」
智「なに?」
「……好き。」
智「ふふっ。急にどうしたの?」
「マジで好き。」
智「んふふ。マジでどうしたの?」
「だから、俺……マジなんだって…智くんのこと…」
智「……ありがと。」
俺を見上げながら、フワリと笑う君が愛おしい。
抱きしめてなお、笑う君が愛おしい
「俺…智くんのこと、大事にするから。」
智「う…ん。」
アイツみたいに泣かせたりしない。
ヤツみたいに乱暴に扱ったりしない。
例え、一つに交わらない道だったとしても俺の気持ちは変わらない。
智………俺が君を…
俺が君を守ってあげる。