マリア
第19章 虚偽曲②
智「しょ……お願…い。」
俺の体に擦り寄せられる智の細い足。
やっとの思いで、智のナカから指を引き抜き、智の足を抱え直す。
「智くん…俺…。」
潤んだ目で見上げる智の頬をそっと撫でた。
その手に重ねられる智の手は震えていて、
早く智のナカに挿入りたい、という欲望より、
智と一つになりたい、という、純粋な何かに急き立てられる。
智「早く……早く翔くんをちょうだい?」
「智くん……」
言葉を絞り出すのがやっとの唇にキスをした。
智「呼び捨て…でいいよ?恋人なんだから?」
「智…」
智の言葉に、胸がきゅ、と締め付けられる。
「俺も…呼び捨てでいいから。」
智「しょ……う」
腰を抱え直し、自身を智の後孔に宛がい、ゆっくりと腰を沈めてゆく。
智「んーっ……んっ……うんっ……ん……っ」
苦しそうに眉根を寄せ、唇を真一文字に結びながら声を漏らした。
智「はっ……あっ…あ…あ……」
よっぽど止めようか?って言おうと思った。
それほどに、智は苦しげで見るに耐えない。
でも、肝心の智がやめようと言わない。
そんな俺の気持ちを察したかのように俺の体にしがみついてきて、
痛みを紛らすかのように俺の胸の中に顔を埋めた。