マリア
第19章 虚偽曲②
智「もぉ〜そんなにじろじろ見ないで!」
智はシーツの中に完全に潜り込んでしまった。
「え〜いいじゃん!?超エロくて可愛い智の顔、見せてよ?」
智「やだっ!!あーっ!!」
勢いよくシーツをまくり上げると、
ゆでダコのように真っ赤な智と目が合った。
あまりの可愛さに智の体を引き寄せ抱きしめた。
智「翔、苦しいよ…」
「そう?」
俺は、智の言葉を無視し、抱きしめる腕に力を込めた。
その日は、帰ろうとして、たまたま鉢合わせてしまった智のお母さんに言われるまま、夕飯をご馳走になり、そのまま智の家に泊まることにした。
明日は日曜だしいいか、って感じで気楽にOKしてしまったけど、
智の部屋で寝ることになってしまい、少し焦った。
案の定、眠れなくて、
それでも目を閉じていれば眠れるかも知れない、と、
布団の中でじっとしていた。
が、昼間の智がチラついてやっぱり眠れなかった。
ベッドで寝ている智を見ると、こいつ、生きてんのかな?ってぐらい身動ぎ一つしない。
と、思ったら、
暗がりの中でむっくりと体を起こし、側に置いてあったスマホを手にベッドを抜け出す智の姿が見えた。
智は、椅子の背もたれに引っ掛けてあったカーディガンを羽織ると、
足音を忍ばせ部屋を出ていってしまった。