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マリア

第19章 虚偽曲②



智side


僕は、



数時間前からチカチカと点滅を繰り返すスマホが気になって眠れず、



予定外にもウチに泊まることになった翔くんの存在を気にかけながらも、



気づかれないように、



そっと部屋を抜け出した。



トイレのドアを閉めすぐスマホのチェックをする。


やっぱり…あれほどいったのに…



いつでもいいから連絡して、とのメールが。





「もしもし、僕だけど…」


『あっ!!よかった!連絡ついて。』


「メールはダメ、ってあれほど言ったのに何でメール寄越すの?」


『ご、ごめん!!ちょっと聞きたいことがあって…』


「で?どうしたの?」


『え?あ、ホントにいいのかなあ、こんなことしてて、って思ってさ?』


「何で?ずっと欲しがってたじゃない?やっと手に入ったのにどうしたの?」


『そうだけどさ…俺がこんなこと言うのもあれなんだけど、これ、って…』


「じゃ、やめたら?その代わり、バレたら君がヤバいんじゃないの?」


『いやっ…そっ…それは困る。』


「そんなことより、連絡あった?」


『ううん。まだ…。』


「そう…」


『あ……ちょっと待って…』



しばらく会話が途切れた。



『もしもし?今さっき、その人から着信が…』


「そう。ありがとう。」


さっさと通話を強制終了させ、履歴を消去し、



トイレのドアを開け、辺りを見回す。



誰もいないことを確認した上でトイレのドアをそっと閉め、部屋に戻った。


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