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マリア

第4章 輪舞曲



「愛人?」


和「あの人、俺とエッチするごとに欲しいもの何でも買ってくれるから。」



呆気にとられている僕を他所に、


彼は指先を動かしつつ淡々と続けた。



和「ま、持ちつ持たれつ、ってとこですかねぇ…」


そんなに上手くもないけど、って、彼がそこまで話したところで、



翔くんと、あの背の高い人が戻ってきた。







「ね、翔くん。」


翔「何?」


「あの人たち、一体誰なの?」


翔「あっ…ああ、友達、だよ?同じ高校の。」


「そう…。」





翔くんは、中学二年の時、お父さんの仕事の関係で転校していった。



あとで聞いた話だけど、


その、翔くんの友達だという相葉くんは、転校先の中学で知り合って、



そのまま、翔くんと同じ高校に進学したらしい。





相葉くんのことを『パパ』呼ばわりしたカズこと二宮くんは、同じ学校の後輩。





僕は、



今まで知り得なかった翔くんの一面を知ってしまったことで、少し落ち込んでしまっていた。



親友だなんて言いながら、


こんなにも、



翔くんのことを知らなかったんだ、って。



礼「う……ん。」



礼音が寝返りを打ったことで、鉛筆を持つ僕の手が止まっていたことに気づく。



ずれた礼音のシーツを直しながらふと、視線を感じて振り返ると、



戸口に寄りかかるようにして立っている白衣を着た男の人と目が合った。



潤「どこかで見た顔だ、と思ったら、やっぱり君だったんだね?」



と、その人は優しく微笑んだ。



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