マリア
第19章 虚偽曲②
裸の背中に纏わりつく細い腕…
これ、僕……なの?
映像だけでなく、音までも鮮明に捉えていて、
聞くに耐えない、淫靡な水音や嬌声が鼓膜を震わす。
あ……これ……
僕より、色が白くて、僕より細い腕が、
先生の体にしがみついていた。
そして、その細くて白い腕の持ち主が、
逞しい体の下からその顔を覗かせた。
そして、その顔を見て愕然とした。
ウソ………!!
先生の背中に腕を回し、甘い声で喘いでいたのは…
潤「はぁ……か…和也…っ」
和「あっ……も…っと…」
……二宮くんだった。
先生の顔を引き寄せ乱暴に口づけ、一際大きく肌と肌がぶつかり合う音が聞こえた、と思ったら、
パタリ、とその動きを止め、二人は、折り重なるように抱き合い、微笑み合ながら、啄むようなキスを何度も重ねていた。
ウ……ウソ…何で?
二人は、血の繋がった兄弟じゃ…?
途端に目の前がぐるぐる回りだし、
喉元に酸っぱいものが押し寄せてくる。
慌ててトイレに駆け込むと、そのすべてを吐き出した。
最愛の人が、
実の弟ともつれ合う姿と共に…。