マリア
第20章 奸計曲
大野くんに電話してしばらくすると、
思いがけないところから電話がかかってきた。
和『ちょっと…話があるんだけど?』
カズだった。
「話…って?」
和『アンタ、何で大野さんの携帯に電話してきたの?』
「何で…って…」
和『もしかして、大野さんを脅してんじゃないだろうね?』
「ま、まさか!!」
和『じゃ、何で電話してきたんだよ!?前に無理矢理ヤった時のことネタにして脅してんなら…』
「ま…待ってカズ!俺の話も聞いて!」
和『言い訳かよ?聞くだけならタダだし聞いてやるけど?』
「電話じゃなくて…その…直接会って話したいんだけど?」
和『会ってやってもいいけどヤらないからね?』
「そっ、そんなつもりないって!?話だけだって…」
和『…どこいけばいい?』
俺は以前から時々出入りしていた友達のアパートを指定した。
その友達のことは、カズも翔ちゃんも知らない。
それもそのはず、その友達はもう中卒で働いていて、仕事が忙しくて滅多とアパートには帰ってこない。
究極、俺の家も同然だった。
でも、ソイツがたまに顔を出した時は、飯を奢ってやったりはするけど。
「いらっしゃい。」
ドアを開けてやると、
カズは典型的な男所帯ぶりに眉を潜めた。