マリア
第20章 奸計曲
智「ねぇ翔くん。」
「ん?」
俺の腕の中で、俺の髪を弄びながら智が問う。
智「プレゼントがあるんだけど?」
「へ?まだ何かもらえるの?」
智「え?あげたっけ?」
「俺の目の前にあるけど?」
智「あ……///」
何かに気づいた智の顔が、みるみる赤くなってゆく。
智「恥ずかしいよ…」
真っ赤になって俯く智の前髪を捲りあげキスをした。
智「実は、まだあったの。」
と、少し得意気に笑う智。
「えっ!?マジで?」
思わず、シーツを跳ね退け体を起こした。
智「んもー!?寒いからっ!!」
「ご、ごめん。」
シーツを被り直し、そのまま智を抱きしめた。
智「うふふ。温かい♪」
「で?何くれんの?」
智「ん?見る?」
俺の腕の中から抜け出すと、
智はベッドの脇に手を伸ばした。
智「はい、これ。」
智が手にしていたのは、鮮やかな赤の、カシミヤのマフラーだった。
智「もう、翔くんが風邪引かないように。」
俺の首に巻き付けながら智は笑った。
「すっげぇ派手。でも、温かい。」
智「似合ってるよ?」
「ありがと。」
智「ねぇ、翔くん?」
「何?」
智「それ、似合ってるけど服着てつけた方がいいみたい。」
「何で?」
智「変質者みたいだから♪」
「………。」
あのぅ…これ、巻いてくれたの、って、確か、あなたでしたよね?