マリア
第21章 序曲 ②
智「え?これ、僕に?」
開けていい?と、智はリボンの掛けられた紙袋を丁寧に開けた。
智「わぁ……手袋!」
智はその肌触りを確かめるように、手で撫でたり頬擦りをしたりした。
智「ふふふ。モフモフ♪」
着けていい?と、
嬉しそうに填めた手袋を、ほら、と、俺に見せてくれた。
智「ありがと。大事にするね?」
肌触りが余程お気に召したのか、
智は手袋を外しまた頬擦りした。
「………。」
可愛い……
……じゃ、なくて。
あの日、
智の携帯のパネルに表示されている名前を見た途端に強ばった二宮の表情。
「どうした?」
和「あ……間違い電話みたい。」
二宮は智の携帯をもとの場所に戻した。
「ふーん…。」
そして、何事もなかったかのようにゲームを始めた二宮。
でもまだ、うるさく鳴り響く携帯が気になって、
二宮がストーカーなんじゃない?って、言うもんだから、
もし、そうなら一言言ってやろうと、智の携帯を持ち上げたら、
二宮に携帯を叩き落とされてしまった。
あの時の二宮の顔。
アイツ…
あの時、何か見てる…。
と、なるとやっぱり、鍵を握っているのは…
智「うーん、このモフモフ好き♪」
「………。」
しっかし、可愛いなあ…。