マリア
第21章 序曲 ②
そのあとも、智のキスに関する私への質問攻めは止まらなくて…
「じゃあ、キスしてる時、って、どんなこと考えるの?」とか。
そんな智に、私も質問で返した。
「そんなこと…聞いてどうするの?」
智「えっ?だから、何となく…だって!?」
「…ふーん?」
これは…もしかして…
「智、ってばもしかして…」
私は思わず立ち上がって、智の手の中にあるお粥の器を取り上げてしまった。
「好きな人が出来た、とか?」
智「えっ//////!」
途端に真っ赤になる智。
「そっかあ…智が恋、ねぇ…」
智「も〜うるさい!」
智は、照れ隠しにシーツの中に潜り込んでしまった。
「ね…どんなコ?」
智「どんな…って…」
とうとう智は黙り込んでしまった。
その、智の恋のお相手が、
あの、松本先生……なんて。
ステキな先生だから、分からないでもないけど、でもなんで男の人……なの?
同性同士の恋愛、というデリケートなことだけに、私は、
智の恋の行方を、ただ、黙って見守るしか出来なかった。
ただでさえ実を結ばない恋愛に、
智はどんな答えをだすつもりなんだろう、って。