マリア
第21章 序曲 ②
バレンタインデーを二日後に控えたある日。
私はお母さんと二人で智とお父さんにプレゼントを買いに行こうと、
当日に着る服を見繕っていた時のこと。
「礼音、あなたに電話よ?」
「電話?」
「翔くんから。」
「え……?」
翔くんとはサヨナラしてからは一度も会っていない。
今さら何なんだろう?と、もやもやした気持ちのまま受話器を握った。
「もしもし?」
翔『もしもし?久しぶり。思ったより元気そうだね?』
まさか…ヨリを戻したい、とか言わないよね?
「う……ん。」
私は僅かな期待にドキドキしながら、翔くんの言葉を待った。
翔『ちょっと聞きたいことがあって…』
「聞きたいこと?」
何だろう?ヨリを戻したいとかじゃないのかな?
もし、そうだとしても断るつもりでいた。
でも…
翔『智のことなんだけど?』
「…智?」
あれ?翔くん、て、確か智のこと…
「いつから?」
翔『え?』
「翔くん、智のこと、いつから呼び捨てにしてるの?」
翔『あっ…//////』
翔くんは少し恥ずかしうに、でも申し訳なさそうに、実は、と、
その理由を教えてくれた。