マリア
第21章 序曲 ②
智「僕より翔くんの方だよ?変なのは?」
「そうなの?」
電話で話してた時はそんな風に感じなかったけど…?
智「何だかよそよそしくて、僕のこと避けてるみたいなんだ?」
もしかして…あの二人の名前を出しちゃったから…
智「ホントは今日会うはずだったのに、急に都合が悪い、とか言い出して…。」
少し、落ち込んでいる様子の智に、少し同情してしまう。
智「今日、バレンタインだから、会えるの楽しみにしてたのに…」
何だか…
かいつまんで智の話を聞いていると、
智のどこが変なんだろう、って思ってしまう。
普通に恋愛して、普通に悩んでいるようにしか見えない。
でも電話で智が口にしていた名前を聞いた時の翔くんの反応は、
到底演技にしてるようにはみえなかった。
『そのうちの一人が音信不通なんだ。』
どうしよう……。
誰を信じればいいの?
俯き唇を噛みしめる私の肩に智の手が触れた。
智「震えてる。寒いの?」
心配そうに眉を下げる智。
智「疲れてるんじゃない?早く横になった方がいいよ?」
と、部屋まで付き添ってくれた智。
「ねぇ、智。」
智「何?」
「一緒に寝て?」