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マリア

第23章 変奏曲 ②



智「いきなり距離をおこう、なんて酷いよ…」


「……そうだね。」



でも私にはその理由には大体察しがついていた。



ここ最近の智の不可解な行動。



それに関わっているらしい翔くんのお友だち。



それが翔くんが智に対してよそよそしくなっている原因だと思った。



でも、翔くんが、松本先生が大ケガをした顛末を智に話した上での言葉だったことまでは知らなかった。



「私が翔くんと話してみようか?」


智「ううん。いいよ?」


「でも…会いたいんでしょ?翔くんに?」


智「………。」


「智…?」


智「もう、帰ろっか?」


空の紙コップを握り潰しながら、すたすたと出口へ歩いていく智の後を追いかけた。



「ごめんね?聞かなきゃよかった。」


智「ううん。愚痴聞いてくれてありがと。」



店のドアを開けた途端、体に纏わりつく肌寒さに思わず身震いすると、智が僕にくっついて?と抱きよせてくれた。



「…ありがと。」


智「うん。」


「…………。」





ねぇ、智…



私、智が笑ってくれるんならなんだってしてあげたい、って思うけど、



それ、って、本当に智のためになるのかな?



私にとって智はかけがえのない存在だけど、





智は、本当は私のこと、どう思ってるんだろ?




邪魔者扱いしてない、よね?



もし、そうじゃないんなら私…












「もしもし、翔くん?その…会って、話せないかな?」


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