マリア
第4章 輪舞曲
「えっ!?あっ…と、君は…?」
和「あら、もう忘れたの?あの背の高い盛りのついたオスザルの愛人の二宮くんのこと?」
よっこらしょ、と、二宮くんは僕の隣に座り、
カバンからゲームを取り出した。
和「誰か入院してんの?」
「何で?」
和「花瓶。」
「あ、ああ、妹が。」
和「ふーん…。」
二宮くんは、興味無さそうに忙しなく指先を動かし続けた。
「二宮くんは?」
和「ん?ああ、俺?ここに通院してんの。」
「どこが悪いの?」
真剣な顔つきで覗き込んでくる僕を見て二宮くんは鼻で笑った。
和「ああ、すいませんね?せっかく心配してくれてんのに?」
ちょっとだけ背筋を伸ばし、また、指を動かし始める。
和「俺ね、情緒不安定なんですよ、昔っから。」
繊細な質でね?と付け加えることを忘れなかった。
和「で?妹ちゃんは?何で入院してんの?」
「生まれつき心臓が悪くて…。」
和「ふーん…。」
二宮くんはスマホで時間を確認するとカバンにゲームをし舞い込んだ。
和「じゃ、俺、そろそろ時間なんで。」
病弱な妹さんによろしくと、
背を向け手をふりながら去っていった。