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マリア

第25章 後奏曲



「んっ…あっ…あっ…あっ」



僕は目を閉じ片手を壁につきながら、もう片方の手を、僕の腰を支える翔くんの手に重ねた。



すると翔くんは、僕のその手を力強く握り返してくれた。



「しょ…もっ…と…もっ…あっ…!!」



最奥を突くように腰を打ち付けられて、思わず上体を反らす。



「はっ…あっ…あっ…も…もう……!」



僕と翔くんの繋がった場所から聞こえる粘膜同士の擦れ合う音が、



イヤでも僕を高みへと連れていく。



「はぁ…あっ…あっ…も…イク…!」



僕は壁を白い飛沫で汚し、イッた。



そして、その後を追うように、僕のナカに欲を放った翔くんが僕のナカから出ていって、



力尽きた僕の体は、壁をずるずると滑り落ちていった。



こんな薄暗い、じめじめした場所で、非生産で卑猥な行為をしている、僕。



そんな僕を礼音、君は、



まだ、生き長らえた筈の命を手折られ、暗くて冷たい場所から見ているであろう君はどんなにか…



そう思った瞬間、僕の目から一筋の涙が零れ落ちた。



「翔くん…」



翔くんに背中を向けたまま翔くんの名を呼んだ。



礼音、君の体温が、



凍えそうなほどに冷たい君の体温に全身を覆い尽くされ、



体の震えが止まらない。


止まらないんだ…。



「寒い…まだ寒いよ…翔くん。」


翔「智…?」


「こっち来て…温めてよ翔くん…。」



翔くんは、僕に覆い被さるように抱きしめてくれた。



「温かい…」



あんなに寒くて堪らなかったのに、って、思ったらちょっと笑えた。



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