テキストサイズ

マリア

第25章 後奏曲



「…ふふっ。翔くんてば、ホント、温かい。」


翔「それ…俺が暑苦しい、ってこと?」


「違うよ。そうじゃなくて…」



そうじゃなくて…





翔「智…」


「うん?」


翔「俺…ずっと智の側にいるから。」


「え……」


「俺が一緒に背負っていってやるから。」


「翔くん……!?」



翔くん、知ってて…?





ずっと…



ずっと堪えていたものが、堰を切って溢れだす。



ごめん……ごめんね?翔くん。



僕のせいで余計な物を背負わせてしまって。



「ありがと…翔くん。」



不思議だ…



それまで、別々に聞こえていた心臓の音が、



僕と翔くんの心臓の音が、



一つに重なる。



温かくて、優しくて、おおらかで、



まるで、翔くんそのもの。





でも、翔くん、



ホントにいいの?



僕の歩いている道は後戻り出来ない道だよ?



それでもいいの?



僕は振り向き翔くんの目を見つめた。



翔くんは僕と目が合うと、にやりと笑い、



僕のおでこをぴん、と弾いた。



「んもぉ!いったい〜!」


翔「いつまでもメソメソしてっからだろ?」



と、膨れっ面でおでこを擦る手を退け、僕をぎゅっとしてくれた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ