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マリア

第25章 後奏曲



それからの俺たちは、



受験勉強と称して互いの家を行き来していた。



もちろん、受験勉強なんて体のいい言い訳で、



家族がいないタイミングを見計らっては智に会っていたに過ぎない。





この日も、



そのタイミングで智を俺の家に誘っていた。





智「翔くん、勉強しなくていいの?」


「心配しなくてもちゃんとやってるよ?」



不安そうに見つめる智の体を抱きよせる。



「寒くない?」


智「平気。」


「そんなことより智にいいもん見せてやるよ?」


智「何?」



ちょっと待ってて?とベッドから真っ裸のまま這い出す。



そのまま、鞄から参考書を取り出し、



急いでベッドに潜り込んだ。



「ほら。」



その参考書をそのまま智に手渡す。



智「参考書?」


「標してあるところ、開いてみて?」


智「これ…」


「前にさ、くれただろ?四つ葉のクローバー。」


智「持っててくれたんだ…」



お袋が押し花を趣味でやってる、ってことに気づいて、



作ってもらった栞。



智「…ありがとう。」



グスン、と鼻を啜る智を抱き寄せ、頭をポンポンと叩く。



「ずっと…一緒にいよう…な?」



俺は、





何か言いたげに見つめる智の唇にキスをした。


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