マリア
第26章 終曲
智「寒〜い!」
表向きは勉強の息抜きと称して、
でも、本当のところは智からのバースデープレゼントのリクエストで、
俺と智は寒空の下、遊園地に来ていた。
智「ね、ね、翔くんあれ、乗ろう?」
と、智の所望するアトラクションは…
「か…観覧車…」
全て俺が苦手なものばかり。
智「わあ…ねぇ、見て?人が…家があんなちっちゃい!!」
「そ…そうだね?」
智「すっご〜い!!海まで見える!!」
「わあ…ほ、ほんとだ…」
智「翔くん。」
「は、はい?」
智「見てないでしょ?」
「…はい。」
窓の外を見るふりして、
俺は椅子にしがみついていた。
智「ねぇ、翔くん。」
「は、はい、すいません。」
智「まだ何も言ってないけど?」
「あ、ああ…で?何?」
智「隣、座っていい?」
「も…もちろん。」
智「ね、翔くん?」
「な…なんでしょう?」
智「キス…して?」
「え?あ、キ…う…うん。」
俺は、眼下に広がる絶景に背中を向け、
智の唇にキスをした。