マリア
第26章 終曲
あんな智は初めてだった。
智の体が壊れてしまうんじゃないか、ってぐらいに智の体を貫いた。
もっと、もっと、と乞われるままに貫いた。
まるで、壊してくれ、と言わんばかりに、
上になり下になり、智は獣のように鳴き続けた。
「智……俺…もう…」
「し……ょう…」
苦し紛れに伸ばされた手を掴みながら、
智は意識を手放した。
そして、しばらくして、目を覚ました智はぽつり、こう言った。
「まだ、生きてたんだ」と。
「あ…あのさ…」
智「ん?」
「約束…」
智「約束?」
「受験が終わったら、っていう…」
智「ああ…」
「どこか行きたいところ、ある?」
智「うーん…」
智は、繋いだ手をブンブン振り回しなが唸った。
智「空…」
「え?」
智「綺麗な空が見たい。」
「空…?」
智の意外な答えに、目を白黒させていると、
智も、キョトンとした顔で俺を見てきた。
「空?」
智「うん。空。」
「海とか、景色が綺麗なところじゃなくて?」