マリア
第27章 悲愴曲
二日間に渡る日程を無事終え、
ダッシュで試験会場を後にした。
早足で人波を縫うようにくぐり抜け駅の待合室で息を整えながらポケットからスマホを出し電源をいれる。
後で電話する、と、智にLINEし、またポケットにしまう。
電車に乗ってから、智のやつ、多分まだ見てないんだろうな?と思いつつスマホを見てみると、
既読になっていただけでなく、『待ってるね?』の、メッセージまで送られてきていた。
「うおっ!!マジか!?」
思わず席を立ち上がって叫んでしまい、回りから白い目で見られる俺。
それでも、めげることなく電車から降りるとすぐ智に電話した。
智『お疲れさま。』
久しぶりに聞く声にニヤニヤが止まらない。
智『話、って?』
「うん。実は…」
と、
かねてから考えていた計画を智に話した。
智『でも、翔くん、大学は…』
案の定、智は戸惑う素振りを見せた。
「大学なんて出てなくてもなんとかなるさ。それに社会に出たら、大学出てるから、って、仕事ができる、って訳じゃないし。」
智『でも…』
「大丈夫だ、って?大学なんて、行こうと思えばいつでも行けるし。」
詭弁だ、って、思った。
思っていたけど、この時ばかりは仕方ない、
智のため、
俺たちのためなんだ、って、自分に必死に言い聞かせていた。
そこに、自分たちの未来がある、って、
信じて疑ってなかった。