マリア
第30章 祝歌
「やったぁ♪僕、上がり!櫻井せんせぇ、弱すぎ〜!」
「くっそぉ〜!もう一回!!もう一回やるぞ!!」
小児科病棟の中にある、プレイルームを陣どり、パジャマ姿の子供たちに混じって、トランプ遊びをしていた。
「はい、上がり〜♪」
「わあ…スッゴい!!ゆうり君強〜い!」
「僕も。はい、上がり♪」
えっ!?ウソ…だろ?
「せんせぇ、ババ、持ってるでしょ?」
「えっ!!なっ…ないよ?」(←図星。)
「ほんとにぃ?」
次々と子供たちが抜けていく中、
俺はまたもジョーカーをまんまと掴まされ、
全戦全敗の憂き目に晒されていた。
で…
「…負けた。」
と、テーブルに突っ伏す俺の肩を誰かが叩いた。
中「あんまり苛めないで欲しいなあ。でないと櫻井せんせ、泣いちゃうよ?」
「あっ!!中居せんせぇだぁ♪」
「せんせぇ、お歌、あのヘンテコな歌(←笑)、歌って?」
中「えっ!?う、歌?」
ベテラン医師・中居先生の助け船に胸を撫で下ろしたのも束の間、
歌が苦手な中居先生に降りかかった火の粉が俺に降りかかる。
中「さっ…櫻井先生が一緒に歌ってくれる、って?な?な?」
「は?えっ?ち、ちょっと…。」
俺は、助けに来てくれたはずの中居先生のとばっちりで、
その「ヘンテコな歌」とやらを一緒に歌わされるはめとなった。