マリア
第5章 三重奏曲
「落ち着いた?」
お隣さんからもらった、気持ちが落ち着く、というブレンドティーを飲み、一息つく。
「あのさ…」
ティーカップの縁を弄びつつ、話を切り出した。
「礼音は翔くんのことが大好きなんだよね?」
ほとんど口を付けていないカップを両手で持ったまま礼音が頷く。
「…翔くんに他に好きな子がいるかも、って思ってんだよね?」
小さく鼻を啜りながら小さく頷く。
「ねぇ、こう考えない?」
僕はカップをテーブルに置き、
ベッドに腰かける礼音の隣に移動した。
「翔くんも礼音のことが好きすぎてまともに見れないんだ、って?」
礼「でも…キスは普通にしてくれるのに?」
「キ…あっ…そっ…そうなんだ?」
病院で偶然見てしまった二人の姿を思い出して、
ちょっとどぎまぎしてしまう。
礼「で?智は翔くんと何話してたの?」
「えっ?い、いつ?」
礼「電車の中で。」
「あ…礼音のこと、どう思ってるのか、って。」
礼「で?」
「で?あ…うん…嫌いじゃない、って?」
礼「ふふっ。何それ?微妙。」
…しまった。僕としたことが……。
もう、どうしたらいいんだ?
と、頭を抱えているところへ、
翔くんからの返信が来た。