マリア
第6章 練習曲
「やり方を詳しく教えろ、ってキレられて…。」
潤「…うん。」
「妹には構わないで!って言われてしまったし。」
潤「そう…か。君たちの年齢なら経験してる子の方が少ないだろうから、無理もないか…。」
松本先生は、顎に手を置き黙り込んでしまった。
「………。」
そんなとき、僕はふと、思った。
もし、松本先生が医者でなくても僕のくだらない相談に乗ってくれるんだろうか、って。
松本先生は医者で、その立場上親身になってくれてるんだろうけど、
普通の大人だったら、こんな会話、何をませたことを、って、一笑に伏すか、まだ、早い、って叱るに違いない。
…そもそも先生、ってどんな人なんだろう?
イケメンて簡単に括ることが出来ないぐらい綺麗な顔立ちだし、
僕の年齢に関係なく真剣に向き合ってくれる姿勢に凄く好感も持てる。
モテるんだろうな、きっと?
先生、って、恋人いるのかな?
あ、でも、こんな仕事してたらデートする時間とかあるのかな?なんて、
先生に真剣な悩みごとを打ち明けていることも忘れて、
僕は、先生の顔をぼんやり眺めていた。