マリア
第7章 恋慕曲
和「今度、大野さん連れて部屋、遊びに行こっかなあ?」
俺を煽り立てるように、チラ、とこちらを見る二宮くんの目は、薄ぼんやりとした悪意に満ちていて、
どちらかと言えば、
彼の兄貴より、彼の方を殴りたい衝動に駆られてしまう。
和「それにしても遅いね、大野さん?」
そうだ…智くん…!
和「泣いてたりして〜♪」
「!!」
ニヤニヤしながらスマホをしまい、ゲーム機を取り出す横顔は、
鼻唄さえ口ずさんでいた。
和「見に行くの?」
何面白がってんだよ!?このガキ!!
腹の中で毒づきながら席を立ち、返事もせずに睨み返した。
和「もし泣いてたら、せいぜい優しく慰めて、せいぜい点数稼いどくんだね?」
「どういう意味だよ?」
和「だって、今のままでおんなじ土俵で戦えるわけないじゃん?」
そんなこと、はなから考えてねぇよ!?
和「行ってらっしゃ〜い♪」
背を向けた途端に投げ掛けられる呑気な口調にイラついた。
…雅紀のヤツ、よくこんな男と付き合ってるな?