無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

純子は喫茶店に行く


入り口のドアベルがカランカランと鳴ってお決まりの挨拶が純子に向けられる

純子は小さな声で何か返しながら顔を前髪で隠すようにお辞儀する


店内には純子がたまに見かける黒髪の若い男性客が一人

一度、純子が店長さんを呼んでも奥にいて聞こえなかった時に、代わりに大声を出して中継してくれたのもこの人だ

この人はいつも他のお客さんに席を譲るかのようにカウンターの隅に座って店長さんと話している


純子にも好きな席はあった

純子が大通り側の窓際のテーブル席を見るとテーブルには真新しい花が飾られている


物静かな店長さんのさりげない気配りのようだ


純子は落ち着かない様子で少し迷った末

ちょこんといつものそのテーブル席に座る



午前中のうちはこんな静かだが昼頃になると店内は少し忙しくなる

そうすると純子にはおいとまの時間となる

それまで趣味の小説の構想を練るのだった

練る…


そう

純子は真昼のシンデレラ

時計の鐘が正午12時を知らせる時

魔法は解けてしまうのだ




…いつしか純子は寝ていた

んがっと目を覚まし、見ると時計は午後１時を回っている


純子は激怒した