君を愛してる~十年越しの想い~
第1章 君を愛してる~十年越しの想い~
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抄華の家のチャイムを鳴らす。
「はーい」
「由里っ……ですッ……」
「由里、どうしたの?!」
「ちょっと話したいことがあって。下、出れる?」
「うん、いいよ」
私達はマンションの下の公園に行く。辺りはもう真っ暗だ。
「びっくりしたよ。どうしたの?」
「これからもっとびっくりさせるかもしれない。私、抄華のこと好きなの」
「うん、知ってるよ」
抄華はそう言って微笑む。だけど今日伝えたい好きはあの頃とは違う。ウイッグは走っている途中で外して、アクセサリーも鞄に直して、ロリィタにはあるまじき不恰好な姿。それでも必死に走ってきて伝えたかった想い。