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君を愛してる~十年越しの想い~

第1章 君を愛してる~十年越しの想い~

「呼び止めてごめんね! んじゃまたね!」

「ううん、久しぶりに会えて良かった! じゃあね!」

 田中ちゃん、と呼ばれた女の子は、反対方向に去って行った。

「由里、どうしたの? 顔、怖いよ?」

「ううん、大丈夫。久しぶりの重装備のカラコンとウイッグに疲れちゃったみたい」

「あ~ウィッグ疲れるよね。大学の文化祭でつけたから分かるわ~」

 あぁ、ほらまた私の知らない話。こんなことなら同じ大学に行けば良かったなぁ。なんて、頭の悪い私が同じ大学なんて、それこそ叶わぬ夢なんだけれども……。

「そうなんだ~」

「じゃあ、そろそろ帰る?」

「そうだね」

「またね」

 抄華とバイバイして電車に乗る。

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