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君を愛してる~十年越しの想い~

第1章 君を愛してる~十年越しの想い~

「大丈夫? 終点だよ」

 はっと顔を上げると派手なTシャツに破れたジーンズを履いた華奢な男性が立っていた。駅の看板は西宮と書いていた。座りたいのと乗り過ごし防止には、西宮止まりの急行に限る。

「あ……は……」

 はいと言いかけたが、どうやら力が抜けて立てないようだ。

「すみません、ちょっと……力が入らないみたいです」

 男性は華奢なわりにひょいと私の肩を抱き持ち上げる。初対面の人……しかも男性にお姫様だっこをされるなんて不本意すぎる。男性は近くのベンチに私を下ろした。後退りたい。

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