性犯罪者の本音
第2章 性犯罪者ファイル(1)
「ちゃんと目を閉じた?」
「う、うん…」
「本当かなぁ?ぜったい間違いない?」
「間違いないよ」
「信じていい?」
このときわたしは不思議に思った。
―――――
たかがそのていどのこと(目を閉じているor閉じていないかについて)裕太はなぜそんなに何度も確認する必要があるのだろうか?
5分以上(もしかすると10分以上)、こんなやり取りが続いたこともあって、わたしは徐々に裕太のことを不気味に感じるようになっていた。
―――――
「わたしウソなんて言わないよ…約束した通りちゃんと閉じてるから…」
「ふふっ、だろうね」
「えっ…」
薄笑いを含んだような声で裕太が発した「だろうね」という不可解な言葉は、わたしの不安をさらに加速させた。
「くっくっくっくっくっ、だってさあ、自分がいまおかれてる状況をその目で確認できているのなら、とっくに悲鳴をあげて逃げ出してるだろうからね」
「ねっ、ねぇ、裕太くんいったいどういうつもりなの…」
「おい、テメェ!勝手に目を開けるな!」
人が変わったように大声で怒鳴る裕太。いったいなにが起きたのか、しばらくの間まったく把握できなかった……。