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性犯罪者の本音

第2章 性犯罪者ファイル(1)

そんなわたしの質問に裕太は、恥ずかしそうにうつむいたまま腕を組んで「うーん」と、ため息まじりの声を吐き出した。


彼のその様子を見て、わたしは思わず頭の中で舌打ちをした。


性犯罪者というのは、意外と繊細な人が多く、いったん壁を作ってしまうと二度と心を開いてくれない場合もある。


こういった場合は「素直に謝る」これにつきる。


「変な質問してごめんね。想像してた感じとぜんぜん違ったからつい」


「いいよべつに…つーか、どんどん質問してくれたほうが楽なんだけど…シーンとしてるのってスゲー苦手だから…」


「あ、うん、わかった。ていうかわたし、ぜったい裕太くんを見下したり軽蔑したりしないから本音で話してもらっていい?」


取材をするとき、わたしはこの言葉を前もって必ず付けくわえるようにしていた。


その理由は、性犯罪者の大半は自分のしていることがとても恥ずかしい行為だと理解しているからだ。


そのため、普段はむしろそのことを悟られないように、性犯罪者たちは一般の人以上に下ネタなどの話題を避ける傾向が多い。


しかしそれに反して、だれかにカミングアウトしたいといった、とてもアンバランスな心理状態にあることも珍しくない。

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