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わたし、お金のためならなんでもします。

第1章 プロローグ



どうしよう?もう時間がない。答えはふたつにひとつ。末期ガンか多重人格。間違いなくそのどちらかが正解なのはわかってるんだけど、悩んじゃうなあ。


だって10万円だもん。正解すれば10万円。外れたら0円。まさに天国と地獄。この差はあまりにも大きい。


世の中にはわずか1時間で100億円以上を稼ぐボクサーもいるらしいけど、一般人が10万円を稼ごうと思ったら並大抵の苦労じゃない。


もちろんわたしだってそうだ。この仕事で10万円を稼ごうと思ったらどんなに大変なのか、それは経験した人にしかわからない。


たまに、「おまえらっていいよな?だまってチンチンくわえてるだけで金が稼げるんだから楽だよなあ。本当にうらやましいよ」みたいなこというお客さんいるけど。


冗談じゃない。だったら1回やってみろつーの。わたしたちがいったいどれだけ心と体をすり減らしていると思ってるのよ。


この仕事で1日10万を稼ごうと思ったらアゴが外れるってマジで…


あぁこんな仕事なんてもう辞めたいなー。


ハゲでもチビでもインポでもいいから、「きみの気がすむまで好きなだけお金を使っていいよ」って、いってくれるような素敵なミツグくんはどこかにいないかなぁ…


そんな人いるはずないかぁ…


かりにいたとしても、わたしみたいに華やかさのカケラもない残念なビジュアルの女にとっては、まるで雲をつかむような話だもんなぁ。


やっぱ女って、中身より見た目だよね……。


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