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プリキュアアラモード♡和と優しさを

第2章 哀しみのエチュード

 文化祭が開演された。たくさんのお客さんたち。

 スイーツ、たこ焼き、お化け屋敷、カフェ……。たくさんの人の笑顔。

 ねぇ、なんでみんなそんな楽しそうに笑っていられるの?

「みらん、闇の力を今こそ解き放て。観客たちからキラキラルを奪い取るのだ」

 みんな壊れてしまえばいい。私と同じ気持ちを味わえばいい。黒く染まる。世界はモノクローム。

 私を理解してくれるのは母親だけだった。そう亡くなった母親だけ。黒ずんだドール。それは私の心。涙が一筋溢れる。その瞬間、人々は崩れ落ちる。キラキラが私の中に吸い込まれて闇に染まっていく。

「みらんちゃん!」

「みらん!」

 あきら先輩、ゆかり先輩。どうしてあなたたちは、そんなに人気者なの? 私となんら変わらない……はずなのに。男の子たちの人気なんかいらない。私は、ただ女の子と笑いあいたい。

 お客さんで来ていたいちかちゃんの姿を見つけた。ねぇ、いちかちゃん。どうして、あなたは私に壊れてしまうスイーツなんて作ったの? 喜びや嬉しさがなければ、壊れた時のこんな哀しさ知らずに済んだのに……。ねぇ、どうして……?

 歯止めが利かない。手元から黒い矢が飛んでいく。あぁ、優しさという名の感情が私からなくなっていく。すっぽりと抜けていく。私の中に残るのは、どろどろとした黒い感情だけ。

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