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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



「作り直したんだ。」



顔を硬化させたまま、翔くんはずっとストラップを見ていた。



「もし、僕と別れるようなことになっても、返さないで。」


翔「……。」


「捨てて欲しいんだ。指輪も。僕もそうするから…」



途端、翔くんに痛いほど抱きしめられる。



翔「…捨てるわけないだろ?指輪も、ストラップも……」



抱きしめる腕に、またさらに力が加わって、



苦しくて、息が出来ない。



翔「……あなたも。」



苦しくて、胸が潰れそう。



「……うん。」



抱きしめられる力に負けないように、僕も翔くんの背中に腕を回して、渾身の力を込めて抱きしめ返す。



翔「…意外に力、あるんだね?」



苦笑した翔くんの腕に、さらにまた力が込もって、



さすがに体がバラバラになりそうで降参を申し出る。



翔「俺の誕生日なのにあんなこと言ってくるから。」


「…ごめん。」


翔「ダメ。許さない。」



でも、僕に覆い被さってきて僕にするキスはとても優しくて、険悪になりかけた空気が、一気に甘くなる。



翔「死ぬまで愛してあげるから。」


「…うん。」



翔くん…誕生日、おめでとう。

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