笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
翔「ほら!!みんな俺たちを祝福してくれてる!!」
マジかよ…
翔「……幸せになろうね?」
抱きしめる力の強さなんて気にならないぐらい、甘くて温かい言葉。
胸の奥をきゅ、と締め付ける。
「ほら、いつまで引っ付いているんだ。帰るぞ?」
翔「……うん。」
逃げるように、人混みを掻き分け走り抜けた。
もう、離れたくない、と言った翔の手をしかと掴んだまま。
―数日後―
翔「はい、大野さん、あーん?」
「あーん、って、お前な、それ、俺が作った弁当だし。」
翔「いいからいいから♪」
と、俺の渾身の力作であるきんぴらごぼうを俺の口の中に捩じ込んだ。
翔「おいしい?」
「当たり前だ。この俺が作ったんだからな?」
翔「じゃあ、その自信作を今度は俺に食べさせてよ?」
と、翔は箸を俺に手渡してきた。
「何だよ?自分で食えよ!せっかく作ってやったのに。」
箸を突き返す。
翔「えー?やだっ!!大野さんに食べさせて欲しい。」
「ワガママ言うんじゃねぇっ!!誰のために作ったと思ってんだ!!」
俺は俺で自分で口にした言葉に、
翔は俺の言ったことに驚いて手が止まった。