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笑い、滴り、装い、眠る。

第8章 花梨―唯一の恋―



「あ………いや、だから、その……」


翔「……分かった。自分で食べるよ?だって、大野さんが俺のために作ってくれたんだもん。」



翔はむしゃむしゃと俺が作った弁当にかぶり付く。



そして、綺麗に平らげ、俺に空の弁当箱を見せつけた。



リスみたいに、頬をぷっくり膨らませ、口をもぐもぐ動かしながら。



そして、口の中のものを流し込むようにお茶をごくごく飲み、ふぅっ、と息を吐いた。



翔「はー、美味しかったぁ♪大野さんが俺のために作ってくれた愛情弁当。」



大袈裟なヤツだな?ただの弁当に。



准「よ。見せつけてくれるな?」



ずかずかと准一が俺らの間に割り込んできた。



准「おっ!きんぴらごぼうか?」



きんぴらに伸ばされた手を翔が素早く叩く。



翔「兄貴は食べちゃダメ!!大野さんが俺のために作ってくれたんだから!!」


准「はいはい。」



准一は俺ら二人をニヤニヤしながら見比べた。



「……何だよ?」


准「いーや、別に?」



とか言いながら、他のおかずに手を伸ばし口の中に放り込んだ。



准「あ、うまいな?このだし巻き。見た目はイマイチだけど?」


翔「あっ!!もー油断も隙もないんだから!」


准「しかし、あれだな?智はいいヨメになるな?」


「はあ?」


翔「やっぱり、そう思う?」


准「メシは上手いし床上手(←?)だし。俺がもらいたいぐらいだ。」



途端に翔の童顔が険しくなる。



翔「それはだめっ!!ずっと一緒にいる、って約束したんだからっ!!」



……って、翔、お前…



思いっきり注目浴びてるし?



恥ずかしいし…




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