笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
翔「ね?」
またも人前で抱きついてきた翔を気にしながら回りを見回す。
最早、俺らがくっついてんのはいつものことだから恥ずかしがるのも今さらなんだけどさ?
准「しかし、あれだな。俺の方が先に目を付けてたのに、弟に盗られるとはな?」
「は?」
准「わざわざ用事作って親父と施設に来てたのに……」
が、何故か翔を引き取ることになってしまってた。
准「ま、しょうがないか。親父が翔のこと気に入っちまってたみたいだし?」
まさか、そんなちっこい時からコイツらに目を付けられていたとは……。
准「で?卒業したらやっぱ一緒に住むんだろ?あ、もう住んでるか?」
翔「んーでも、引っ越そうかな?って思ってる。今すんでる所は狭くて…」
「別にいーだろ?狭くても?これ以上、家族が増えるわけじゃあるまいし?」
二人が同時に俺を見た。
ん?俺、何か変なこと言ったか?
准「……だってさ?翔。」
意味深にニヤニヤしながら、翔の背中をポンポン叩いた。
准「じゃ、落ち着いたら遊びに行くわ。お前らの新婚家庭に?」
「だっ、誰が新婚だ!!」
翔「もー、兄貴、ってば照れちゃう。新婚、なんて?」
マジで照れてる翔の頭をぶん殴った。
翔「もー、大野さん、てばすぐ手が出るんだからっ!!……ま、そこもいいんだけどね?」
「……。」
俺はコイツなんかのどこがよくて一緒にいるんだろう。