
笑い、滴り、装い、眠る。
第9章 ずっとあなたが好きだった。
潤「さて…と……」
徐に立ち上がった潤に触発されるみたいに、和も立ち上がる。
和「我々はこれで。大野さん、スイカ、ごちそうさまでした。」
雅「えっ?もう帰るの?スイカまだ一切れしか食べてな…」
潤「大野さん、翔さん、またね?」
ごねる雅紀を和と潤で立ち上がらせ、二人がかりで引き摺るように連れ帰った。
帰る間際、潤は智くんの耳元で何やら耳打ちし、笑顔でポンポンと肩を叩き、
和に至っては「ガンバってね?」と、意味深な言葉を残して。
「もっとゆっくりしていったら良かったのに…」
智「そっ…そうだね?」
同意を求めるみたいに智くんの方を見ると、まるで顔を隠すみたいにスイカにかぶり付いた。
「このスイカ、美味しいね?」
智「もらいもんだけどね?」
しばらく俺らの、スイカのかぶり付く音だけしか聞こえていなかった。
智「あっ…あのさ…」
「ん?」
智くんは食べ終わったスイカの皮を脇に置きタオルで手を拭った。
智「翔くんは…さ、好きなコとかいるの?」
「えっ?な…なんで?」
ま…まさか。俺が智くんのこと好きだ、ってバレた?
