
笑い、滴り、装い、眠る。
第9章 ずっとあなたが好きだった。
正直俺はテンパった。
智くんが俺の気持ちに気づいている上での質問なんだろうな、って思ったから。
だから、男である自分じゃなくて、
普通に女の子と恋愛しなよ?
って、言うつもりなのかも。
智「翔くんて頭いいしイケメンだし、もしかしたらもう彼女とかいるのかな、なんて?」
「ま、まさか?でも、気になってる人はいる……かな?」
智「え…?いるの?」
俺は驚いてしまった。
智くんが泣きそうな顔で俺を見たからだ。
やっぱり……智くん、気付いてて…。
智「それは……どんな人?」
「どんな……って…」
本当のこと言ったらやっぱり引かれるんだろうな。
でも、何で急にそんなこと聞いてくるんだろ?
智「ね…どんな人、なの?」
スゴい真剣な顔して聞いてくるから、思わず言っちゃいそうになるけど、
でも俺は、
智くんのその質問の訳を知りたい。
「じゃあ…さ…」
智「うん。」
いつになく真剣な眼差し。
「智くんは…智くんは…どう……なの?いるの?そういう人。」
智「えっ?お、俺?」
「答えてくれたら俺も言うから。」
しばらくモゴモゴしたあと、ものスゴく小さな声で言った。
智「……いない…こともない…けど?」
