
笑い、滴り、装い、眠る。
第9章 ずっとあなたが好きだった。
いないこともない……
……いるんだ。好きな人。
智「今度は翔くんが答えてくれる番……だよ?」
「あ…うん。」
じゃあ…言っちゃってもいいか。
名前さえ出さなかったら、
……ホントの気持ちを。
腹を決めた俺は、
顔を上げ、智くんの目を見た。
「あのね…小さい時からいつもニコニコしてて優しくてちょっと抜けてて…」
智「うんうん。」
「でも……自分の意見はちゃんと持ってて…俺が側にいてほしい、って、タイミングにはいつも側にいてくれる。」
智「……。」
俺を見つめる、智くんの真剣な眼差し。
でも、多分、俺の好きな人が自分だ、って分かったらきっと……
きっと、軽蔑するような眼差しに変わってるかもしれない。
俺が話し終えると、智くんはそっか、と呟き顔を逸らした。
智「いい人なんだね?その人とうまくいくといいね?」
「え…あ、うん。」
智「これ、片付けてくるね?」
よっこらしょ、と、スイカの皮が山盛り乗った皿を持ち上げた。
「あの…」
智「ん?」
「智くんの好きな人、って…どんな人……なの?」
