
笑い、滴り、装い、眠る。
第9章 ずっとあなたが好きだった。
智「そんなこと聞いてどうするの?」
皿を持ったまま困ったように笑う。
「だって、俺にだけ言わせといてズルくない?」
智「うーん、それもそうか……いや、でも、恥ずかしいし、もうやめない?その話?」
「ダメ!!そっちから始めた話じゃん?智くんが言うまで帰らないから!!」
智「えー…」
智くんは皿を元の場所に置きしぶしぶ俺の隣に座った。
智「大体でいい?」
「うん。」
俯き、地面と俺の顔を見比べる。
智「え…っと、まずは顔がスゴく可愛くて、勉強ができて、俺より年下なのにしっかりしてて…男の子なのにすごいなで肩で…」
「男の子…なのに?」
智「あっ!!いや…その……」
智くんの好きなコ…って、男?
いやいやそれより、待って?撫で肩?
思わず、コンプレックスの肩に手を触れた。
智「わ、忘れて?今の!」
智くんは逃げるように勢いよく立ち上がって、また皿を持ち上げた。
「待って!!」
智くんの腕を掴んだ瞬間、皿は割れ、スイカの皮が地面に散らばった。
しばらく呆然としていた俺らだったけど、
思い出したように二人でそれらを拾い集めた。
「イタッ!!」
うっかり破片を触ってしまったらしい。
刺すような痛みに顔をしかめた俺の手を取り、智くんは傷口を眺め回した。
そして、ちょっと待ってて、と家の中に消えていった。
