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笑い、滴り、装い、眠る。

第9章 ずっとあなたが好きだった。



「あの…」



無言で俺の指に絆創膏を巻き付けている智くんに話しかけた。



「間違ってたらゴメン。その撫で肩の男の子、って…」



相変わらず智くんは無言で俺の指先を見つめたままだ。



智「だから忘れて?って言ってるのに…。」


「答えて!」


智「翔くんのこと…ずっと好きだったんだ。でも、こんなこと知られちゃったら俺、絶対嫌われちゃう、と思って…」


俺の指から手を離すと、少し離れた場所で蹲った。



智「俺んち、もうすぐ引っ越すの。だから、もう、翔くんに会えなくなると思ったら…そしたら、和たちが……」



あいつら……



蹲ったまま顔を上げてくれない智くんの目の前まで這っていきその場に腰を落とした。



「ありがとう、智くん。俺、嬉しいよ?」



物凄い勢いで智くんが顔を上げて何で?って顔で俺を見た。



「ついでに俺の好きな人が誰か、教えてあげよっか?」


智「誰…なの?」


「それは…」



俺は身じろぎもせず俺の顔を見つめたままの智くんの唇に、



自分のそれをそっと重ねた。



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