
笑い、滴り、装い、眠る。
第9章 ずっとあなたが好きだった。
数年後。
社会人となった俺は親元を離れ部屋を借りて住んでいた。
でも……。
智「ただいまぁ。あー、疲れた。」
「お帰り。間に合ってよかった。」
重い足取りで部屋に入ってきた智くんに、よく冷えたミネラルウォーターを手渡した。
智「もー、こんな日に限って仕事が入るんだもん。」
「しょうがないよ?智くん、トップデザイナーだもん。」
智「そういう翔くんも。仕事忙しそうじゃない?」
「まあね?」
あれから俺たちは互いに連絡を取り合い、互いの家を休みを利用して行き来し、大学進学を機に部屋を借りて一緒に住み始めた。
そして卒業後、智くんはお菓子メーカーに就職。しばらく営業をやっていたが、絵が特技だったこともあって今はパッケージのデザインを任されていた。
俺はといえば最近、会社を立ち上げ、小さいながらも忙しい日々を送っている。
智「あ、やべ。忘れるところだった。」
「何を?」
智「ただいまのア・レ。」
「あっ////!!ああ、アレね?」
んー、と突き出された唇にちょんと触れるだけのキスをしてあげた。
智「えー?そんだけぇ?」
「が……我慢してよ?もうすぐみんな来ちゃうから?」
智「もー分かったよ。でも、みんなが帰ったあと覚悟しとけよ?」
