笑い、滴り、装い、眠る。
第11章 SUN SHINE
智side
あれは確か、俺が事務所に入って一年したぐらいの時だった。
まだ小学生か?ってなぐらいちっこくて可愛い男の子が入所してきた。
何でそいつに気づいたか、と言うと、
そいつが俺のことをじっと見てたから。
いくらつぶらな目だから、って、そんなにガン見されたら穴が空くだろ?ってなぐらいに。
不思議なもので、一度気になり始めると大勢の中に紛れ込んでいても案外見つけやすい、ってことが分かった。
まあ、ちっこかったし。
ちっこいだけあって、一生懸命練習する姿は人一倍目を引いたし興味も引いた。
どんなやつなんだろう?って。
『キミ、ちっこいのによく頑張るね?』
確か、そんな言葉をかけたかと思う。
まだ小さいのに偉いな?ってな感じで笑いながら頭を撫でた。
でも、ソイツは途端にムッとした顔になり、乱暴に俺の手を払い除けた。
俺は体の割には払い除ける力が強くて、ビックリしてソイツのことを見た。
が、ソイツの顔からは明らかに動揺していることが伺えた。
それはそうだろう。
小学生の子どもとは言え上下関係が厳しい世界。
上の者に対する態度次第では干される可能性だってある。
でも、いきなり話しかけた俺にも非はある。
そんな俺のちょっとした気まぐれでコイツの前途を潰したら申し訳ない。
「何か……ビックリさせたみたいでゴメンな?」
翔「え?」
智「それに俺、なんか失礼なことも言ったみたいだし。」
急にペコペコし出した俺に彼はキョトンとした顔で俺を見た。