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笑い、滴り、装い、眠る。

第13章 俺にかまって!!(O×S)



智「ほーら、翔くん、いくよ?」



智くんが投げたボールを全力で追いかけて拾って、



ボールを咥えて走って智くんの元へと走って。



智「はい、お利口さん。」



ご褒美だよ、と、智くんの手の中のおやつを頬張る。



智「美味しい?」



うんっ♪



……じゃなくてっ!



智「ほら、もう一回、いくよ?」



振りかぶる智くんの姿に、俺は駆け出した。



……条件反射、って怖い。



何度か繰り返してるうちに智くんがある一点を見つめたまま動かなくなる。



ん?何だ?



智くんの向いた方に顔を向けると、そこには久しぶりに見る顔が。



でも、二人は言葉を交わすことなく視線を逸らす。



そりゃそうだろ?ソイツの隣には初めて見る笑顔があったから。



帰ろっか?と、踵を返す後ろ姿に付き従うように歩き出す。



とぼとぼとした歩調にため息が漏れる。



やっぱり……



智くんの、ぽっかり空いた心の隙間を埋めるのは、



俺なんかじゃダメなんだ……。



そりゃそうだろ?人間に飼われてんだから、人間がいないと生きていけないワケだし、



そのくせ、人間の寿命の半分も生きられない。



俺の存在価値、って何なんだろう?



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