笑い、滴り、装い、眠る。
第14章 猫と俺とアナタと…
「さとし?」
智「うん。俺の名前でもあるんだけど?」
猫に自分の名前つける、って…
どれだけ自分が好きなんだ?って思っていたら…
智「俺、バアちゃん子だし、バアちゃんも多分、一匹は俺の名前つけると思うから。」
「それはいいけど…なんで、そっちの方が俺の名前なの?」
と、少し体が小さくて、顔立ちもより可愛らしい方を指さした。
智「ああ。だってコイツ……メスなんだよ?」
「へぇ、そうなん…って……メ、メスぅ?」
智「そう。コイツ、スッげぇ可愛い顔してるだろ?」
「いやっ…可愛いから、って…俺、男なんだけど?」
智「そんなん、格好見りゃあ分かるよ。」
なあ、『しょう』?と寝込みを襲われ不機嫌そうにニャアと鳴く仔猫を抱きかかえた。
智「お前、時々はコイツらの顔見に来いよ。」
「……いいの?」
智「いいもなにも、お前はコイツらの命の恩人じゃん?コイツらだって大歓迎だよ?」
なあ?と、またもうんざりしたように鳴く仔猫を抱き上げていた。
何気に時計を覗くと、俺は思わず大声を上げる。
智「あ、悪い。もうこんな時間だったんだ。」
時刻はもう夜7時。俺の家では晩飯の時間。
早く帰らないとお袋のカミナリが落ちる。
連絡先を交換し、すっかり暗くなった道を早足で歩き出した。