テキストサイズ

笑い、滴り、装い、眠る。

第14章 猫と俺とアナタと…



智「こいつ、スズメの雛なんだ。でも、スズメは飼っちゃいけない、って法律があるらしいんだ?だから…… 。」


「そうだったんだ。でも、そこはさあ、目を瞑ってくれたって……ねぇ?」


智「そういう決まりがあるんだから。」


「でも、まだ雛じゃん?」



口を尖らす俺を見て智くんは笑った。



智「翔くん、ありがと。」


「何が?」


智「俺のために怒ってくれてんでしょ?」


「ま、まあ…。」


智「今日、学校終わったら一緒にばあちゃんち、行こっか?」


「うんっ!」



笑う智くんの後ろに続いた。



「あのさ、前から言おうと思ってたんだけど、『さとし』って、スッゴい綺麗な猫だと思わない?」



俺の少し前を歩いていた智くんが転けそうになってよろめく。



でも、何とか持ち直して振り返って俺を見た。



「どうしたの?大丈夫?」


智「あっ…ああ。」


「瞳も毛色と同じグレーで、大きくて?」



智「そっ…それを言うなら『しょう』だって負けてねぇよ?」


「そお?」


智「目はくりくりしてて口元も可愛くて?」


「女の子だしね?」


智「い、いや…その……猫じゃなくて…ね、猫も可愛いけど……。」


「猫も、って…?」



猫……じゃない?



じゃあ…



智「前からちょっと可愛いなあ、って思ってたんだ。」



智くんはちょっと恥ずかしそうに小さな声で言った。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ