笑い、滴り、装い、眠る。
第14章 猫と俺とアナタと…
あれからちょっとだけ時間がたって、智くんとの仲は進展しないまま大学生となった。
でも……。
「おいでサトシ?」
「ニャア♪」
いつものように纏わりついてくるサトシを抱き上げ頬擦りした。
「うーん、サトシ、ってばやっぱり可愛い♪」
「ンニャア♪」
猫だけに、サトシを猫可愛がりする俺を見ていた智くんも、負けじとショウを抱上げる。
智「そ、それを言うなら、ショウはいつ見ても美人だよなあ。」
「ニャ…」
智くんはそばで寛いでいたショウを抱き上げ頭を撫でていた。
そんな俺たちを呆れたように見ているカズくんと、その友だちたちが微笑ましく見ていた。
智「あ…あのさ…」
「な、何?」
智「今度、メシ行かない?」
「…い…いつも行ってるけど?」
智「そ、そっか。じ、じゃあ、今度の週末、どっか行く?」
「どこか、って?」
智「え、映画……とか?」
腕の中でサトシが喉をゴロゴロ鳴らした。
「……い、いいよ?」
智「じゃ、何か見たいもんある?」
「任せるよ?」
智「そっか…分かった。」
「…う…うん。よろしく。」
それぞれに、互いの名前がついた猫を抱きしめたまま背を向けた。