
笑い、滴り、装い、眠る。
第15章 TO You・・・
それから一時間。
お風呂から上がってきた気配は感じたものの、智くんが寝室に入ってくる様子はない。
おかしいな?
もしかして、のぼせちゃってリビングでのびてるんじゃ?
気になった俺は足音を忍ばせ寝室を出た。
そっとリビングを覗くと、顔の上にタオル乗せ、ソファーに寝転がる智くんがいた。
やっぱ逆上せちゃったか。
俺は足早に智くんの側に近づき顔を覗き込み、呼びかけた。
返事はない。
でも、ゆっくりと胸が上下する様子を見て取り敢えずは胸を撫で下ろす。
寝てるのか。
時おり、むにゃむにゃと寝言らしき声が聞こえて、深く静かに息を吐いた。
「まったく…風邪引く、って?」
俺は寝室からシーツを持ってきて、窮屈そうに腕や脚を折り曲げていた体の上にかけてやった。
「ふふっ。よく寝てる。」
タオルで覆われた顔が上下するたび笑顔が漏れる。
そんな規則正しい動きを目で追っているうち、俺の瞼も重くなってきて、
次に瞼を開いた時には、かけられたシーツが肩からずり落ちていた。
